煩悩クラス
<ストーリー>
13年振りに地元に戻って来た市松鹿子。以前の高校では殴りグセが災いして何度も停学になっており、今度こそは平穏にやって
いきたいと思っていた。だが殴りグセの元凶である男、横山吾郎と再会してしまったからさあ大変。アホなクラスメート
も巻き込んでの一大ラブバトル?がはじまる。
<感想>
まず鹿子のクラスメートがよいです。ナルシストバカ系列の犬飼、マイペースキャラの横綱・為永が
ダブルでいい感じに暴走してます。更に彼らの緩衝材であるともちゃんも入れたバカトリオは他の追随を
許さない完成度。でも何より素敵なのが、鹿子達のライバル?である大宮君。
『大宮は性格はわりィが 根は腐ってんだ』
という友人の言葉に全てが集約される、がんばり屋・大宮君がいじり倒される様も見所。というか
ある意味、大宮君が影の主役といってもよい(言い過ぎだ)。
殴りグセの元凶である横山と上手くいけば殴りグセも治るのでは?という事になり、横山を好きになってみよう
作戦を敢行する面々。それに強引に巻き込まれる大宮君。
鹿子に吹っ飛ばされて空を舞った大宮君を
受け止めようと、布を広げたバカトリオのセリフ、
『おれら3人だった――』
が最高。(落下してくる大宮君を大きな布で受け止めようとしたはいいが、3人しかいなかったので三隅しか
持てず、大宮君は地面に叩きつけられるという・笑)
大宮君に 『おまえら 早く人間になれ』 と言われる、一線を越えてまだ加速し続けるバカトリオが
眩し過ぎます。トップバッター犬飼にかぶせボケ為永、素でボケるともちゃんと、もうボケの満員御礼。つっこみで
止まる事のない息継ぎなしのボケドミノ倒しをとくと見よ。
笑いの比重が大きいので横山&鹿子の展開は大人しめですが、山あり谷ありで最後にはキッチリと見せてくれます。
横山も普通に格好いいんだけど、トリオの印象が強すぎるというか(笑
最後には横山とのキスで殴りグセが治った鹿子。ハッピーエンドでよかったね、という所で振り出しに戻るという
オチでした。
Holy night
<ストーリー>
クリスマスにまつわる悲喜こもごもを描いたオムニバスストーリー。
1. 高校生のリナコの彼は社会人。クリスマスの約束も彼の仕事で駄目になってしまうのだが・・。
2. クリスマスなのに彼女のいないつかさは、バイト先の女の子に家に誘われる。喜んだのも束の間、
妊娠している彼女の相手役に仕立てられ、両親とご対面するはめになる。
3. まゆは彼と初めてのクリスマスにケンカをして、彼の家を飛び出してしまう。終電もない時間、タクシー代
もないので仕方なく歩いていると、いつも駅で会う男性に声を掛けられる。
<感想>
3つのストーリーで綺麗にラストに繋がるように構成されています。
年に一度クリスマスくらいは、という話が多い中、クリスマスなのにこんな目に・・という話をベースに、
でも救いが残されているあたりに逆にほっとさせられます。
等身大の女の子を描いた1話目、全くの無実で御家庭の修羅場に巻き込まれる2話目、そして
ヤバイ系の男に追いかけられる散々な夜を描いた3話目。徐々にトラブル度にターボが掛かっていきつつも、
最後にはちゃんとカタルシスが用意されているニクイ演出です。
神様(天使?)が飲んだくれなら世の中こんなんでもしょうがない、でもちゃんと救いだってあるんだよ、という
素敵な終幕でした。
神様(天使?)の奥さんの絵がとっても綺麗です。
総評
作品(『煩悩クラス』)の分量が長い分、ネタも盛り沢山で満足度満点の一冊です。
やっぱ敵役がいるとバカの輝き方が違う、と思わされた名脇役・大宮君の勇姿をとにかく見て欲しい。
トリプルボケに一人でつっこむスキルは相当なものがあります。
恋愛要素とギャグが1:1くらいだった頃の作品に比べると、完全なるギャグベース。でも恋愛要素も
キッチリと組み込まれています。笑いに関しては、予定調和のデッドラインを超えてもアクセル全開な突っ走り方が凄いです。
“犬飼2号”他、随所に散りばめられた小ネタ大ネタの洪水は読まなきゃ絶対に損。
少女漫画らしくありつつも片岡テイストが詰まった 『Holy night』 と併せて、必見中の必見な一冊。